FXトレーダー

取引リスクについて

取引リスクについて

メタバース×金融機関 ビジネス参入のリスクと可能性

1997年にNTTデータ(当時はNTTデータ通信)が開設した女性向けのバーチャルモールサービス『まちこ』や、2000年代後半に世界的ブームとなった『Second Life』(※1)など、メタバースの先駆けとなるサービスは複数存在していました。技術的な要因などを背景に、2010年代に入る前にはSecond Lifeのブームは終息を迎えましたが、近年になり、インターネット回線の高速化や端末の性能向上、VRゴーグルの軽量化といった技術的進歩によって、メタバースは再び注目を集めています。

NTTデータグループでは、NTTデータNJK社で開発を進める「NTT XR Coworking」(※3)等、NTTグループ全体で取り組む「NTT XR」(※4)と連携し、様々な方面からメタバースに係るサービス展開の検討を進めています。

2.メタバースと金融の接点

ここで、Second Lifeにおける価値交換の例を見てみましょう。
Second Life内の経済活動には「リンデンドル」という独自通貨が用いられ、ゲーム内において土地・物品の売買等で稼いだ通貨を、アメリカドルなど現実通貨にも換金できるといった特徴がありました。

Second Lifeのブームから約15年経過した現在はブロックチェーン技術が発展し、メタバース内通貨として暗号資産が使えるようになったことや、NFT(※5)によって所有者の明確化や希少性の担保が可能となったことによって、メタバース内の価値を現実世界の価値と紐づけて売買するといったことが成立するようになりました。
Second Life内のリンデンドルは当時仮想通貨と呼ばれることもありましたが、リンデンラボ社が管理・監視する「電子マネー」の一種でした。Second Lifeではサービスのプラットフォーマーが価値管理も実施しており、サービス内のあらゆる価値を決めていたのです。現在は、暗号資産のような独立した技術が融合することで、プラットフォーマーが価値を操作出来ない仕組みを実現している点で、メタバースの価値交換の仕組みは進歩したと言えるのではないでしょうか。

続いて、メタバースと現実社会の金融サービスはどのような点で異なるのか、融資を例に取って考えていきます。
メタバースにおいて土地や物品の売買が行われるようになると、融資のニーズも出てきます。
ここで1つ考えたいのが、融資先についてです。現在のメタバースにおいては、アバターの本人確認の方法が確定していません(図1)。そのため現実社会の誰にどの程度融資しているか分からないケースや、融資ポートフォリオの分散が意図しない形になるケース(図2)が想定されます。
現状はこれらの状況に対する対策のコンセンサスがあるわけではありませんが、今後こういった課題に対して、メタバース上での融資についてのルール整備が関係者の中で並行して行われていくのではないかと想定されます。

図1:現実社会とメタバースの様々な紐づき方

図2:融資のケース例

出典:仮想土地のNFTを担保にしたメタバース住宅ローン(BUSINESS 取引リスクについて INSIDER JAPAN 2022/2/2記事)
https://www.businessinsider.jp/post-250066

3.金融機関のメタバース参入には、規制の整備が必要

シティ・グループのレポート(※7)によると、「メタバースがインターネット技術の新たな繰り返しであるならば、世界各国の規制当局、政策立案者、政府からより厳しく監視されるだろう。取引所やウォレットにおけるマネーロンダリング防止規則、分散型金融(DeFi)の利用、暗号資産、財産権などの問題に対処しなければならない」と規制対応への必要性をレポートしています。
先に挙げたSecond Lifeでは、リンデンドルの現実通貨との換金を非課税でできたため、脱税に使われるケースやマネーロンダリングに利用されるケース、違法ギャンブルなども問題になりました(現在はさまざまな規制がかけられているということです)。

経済安全保障・地政学リスクフォーラム2022

[経歴]
1985年日本経済新聞社に入社。国際報道畑が長く、ワシントン、フランクフルト、シンガポールに駐在。2004年~2021論説委員。現在は東京を拠点に、主に外交、通商、イノベーションをテーマに取材活動をしている。ダボス会議など国際会議での講義、講演、モデレーションのほか、TVキャスターとしても活動してきた。ニュース報道のほか、2005年から10年間にわたり、執筆陣の一人として日経新聞の1面コラム「春秋」を担当した。北大理学部で物理化学を専攻し、1985年に入社後、米国MITに留学。中国の「一帯一路」構想などに関する報道で2017年度ボーン・上田記念国際記者賞を受賞。著書に「プラナカン~東南アジアを動かす謎の民」、「2030半導体の地政学」などがある。 日本の伝統文化に関心を持ち、能楽シテ方観世流の仕舞と謡を稽古している。

PwC Japan合同会社
地政学リスクアドバイザリーチーム
リーダー
ピヴェット 久美子

ファシリテーター

PwCコンサルティング合同会社
経済安全保障・地政学リスク対策支援チームリードパートナー
齋藤 篤史

2. グローバル経営におけるデータガバナンス

東海大学
情報通信学部長・教授
三角 育生 氏
牛島総合法律事務所
弁護士
影島 広泰 氏

[経歴]
世界各国の情報の利活用に対するアドバイスや、企業グループのグローバルなデータ・ガバナンス体制の構築等の案件に従事。「法律家・法務担当者のためのIT技術用語辞典」(商事法務)ほか著書・論文多数。Thomson Reuters「ALB Asia Super 50 TMT Lawyers 2021」、日本経済新聞社「2019年企業が選ぶ弁護士ランキング」データ関連部門で第1位に選出。

ファシリテーター

PwC コンサルティング合同会社
パートナー
山本 直樹

[経歴]
リスクコンサルティング事業部パートナー。2019-2021年はPwC中国(上海事務所)に出向し中国における日本企業支援コンサルティングリーダー。主に、新規性に富むデジタル領域の対応、グローバル企業のガバナンス構造の最適化、中国サイバーセキュリティ法などのコンプライアンス対応、COVID-19発生後の事業継続計画(BCP)などの領域を担当。コンサルティング業界で20年以上の経験を持ち、中国赴任前はPwC Japanグループにおけるサイバーセキュリティ事業の統括責任者。入社以前は、外資系コンピュータメーカーの日本法人にて情報セキュリティ統括責任者を務めた実務経験も有する。

3. 今後サプライチェーンで考慮すべき重要な観点~輸出入規制・関税、ビジネスと人権

慶應義塾大学 名誉教授
中央大学 総合政策学部 教授
庄司 克宏 氏

[経歴]
慶應義塾大学法学部を卒業し、同大学院法学研究科博士課程を単位取得退学した後、二松学舎大学国際政経学部専任講師、横浜国立大学大学院国際社会科学研究科教授、慶應義塾大学法科大学院教授等を経て現職。専門はEUの法と政策。 主な著書に『新EU法基礎篇』『新EU法政策篇』『トランスナショナル・ガバナンス』(岩波書店)などがある。

PricewaterhouseCoopers WMS Pte. Ltd.
芦野 大

[経歴]
PricewaterhouseCoopers WMS Pte. Ltd.において、関税・貿易に関するアドバイザリーを担当。関税評価、関税分類、通関実務、FTA、輸出規制などの関税・貿易に関する幅広い分野について豊富な知識と経験を有する。関税コスト削減を視野に入れた調達戦略の策定サポート、各国における輸出入規制の動向に関する情報提供、FTA活用のための原産判定自動化システムの導入など、戦略から実行まで、法令面、体制面、プロセス面のさまざまな視点から関税・貿易に関するアドバイスを提供している。

PwC弁護士法人
日比 慎

[経歴]
国内法律事務所において各種バンキング取引をはじめとする金融取引分野、M&Aのほか東南アジア法務を含む一般企業法務などに従事。大手証券会社法務部にて社内弁護士として国内外の金融規制対応、証券取引に関連する法律問題全般を担当。2017年より、PwC弁護士法人に参加。サステナブルファイナンスを含む各種企業取引のほか、海外子会社の管理などを含めた事業会社および金融機関のグローバルコンプライアンス態勢の構築支援、贈収賄規制などの対応支援、日本企業の地政学リスク対応などを扱う。ESG/サステナビリティ・人権の領域においては、ESG/サステナビリティに関連する経営アジェンダに係る法務、各国のサプライチェーン規制に関する助言などを含むビジネスと人権問題に関する対応支援を扱う。2005年 弁護士登録。

関連記事

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次
閉じる